高森殿の大杉

 国道から別れて黒岩峠に繋がる細い道に入ると、最初のうちは両側を林に囲まれているのですが、しばらく行くと急に左右に牧場が開けてきます。その道路から右手の方の牧場の中に低い谷間にこんもりと杉の木が茂っているのが見えてきます。何本もの杉が植栽されているようにも見えるのですが、実は、2本の杉の大樹がその中に混ざっているのです。

 一本は、地上1mのところで大きく3本に枝分かれしていて、横幅が10mもあるのです。堂々としたその異様に圧倒されてしまいます。それぞれの枝は、直径が1mを優に越えています。また、その枝からさらに枝分かれした小枝、と言っても普通の杉の木の大きさほどあるのですが、大きく下に湾曲して一端地面に着いてそこから根を張り、さらに大きく育とうとしています。こられの枝が不思議な森の空間を作りだしています。樹齢400年以上と言われており、幹周りも10mを優に越える大杉です。この杉を高森殿の杉と呼んでいます。

 もう一本の大杉は、高森殿の杉より少し小さいのですが、幹周りは10mを越えています。この大きな幹から次々に何本もの枝が出ています。それぞれの枝は、ごつごつとしていて実に荒々しい感じがします。高森殿の杉がすっと素直に大きくなっているのに対して、力強い生命力を感じます。同じ場所に育っているのに全く対照的な二本の大杉が見事です。

 この地は、高森城主高森伊予守惟直及び三森兵庫守能因の自刃の地として伝えられています。